男性ホルモンと薄毛リスクの大きな関係

男性の薄毛の代表格であるAGAは、
ジヒドロテストステロンという男性ホルモンが体内で大量合成されてしまい、
それが毛乳頭に悪影響を与える、というのが最大の原因と言われていますが、

 

そもそもどのような経緯で
「男性ホルモンと薄毛リスクは大きな関係を持っている」ということが分かったのでしょうか?

 

その発見のきっかけとなった、興味深い報告があります。

 

ハミルトンの観察

男性ホルモンと薄毛に深い関係がある、
と知られるきっかけになったものとして挙げられるのが、
1942年にアメリカのジェームス・B・ハミルトン医師の報告です。

 

通称「ハミルトンの観察」とも言われるこの報告の内容をごく簡単にまとめると、
以下のような内容になります。

 

〇薄毛が発生するのは、思春期以降。
〇思春期以前に、睾丸を除去すると薄毛は発生しない。
〇思春期以降に、睾丸を除去すると、薄毛の進行は止まる。
〇しかし、睾丸除去後に、テストステロン
(ジヒドロテストステロンを作る原材料のひとつとなるホルモン)を投与すると、再び薄毛が進行する。

 

男性は、思春期になると男性ホルモンの分泌量が急増し、
睾丸は男性ホルモン生成の95%を担当しています。

 

これを除去する=男性ホルモンの影響をほとんど消失させることが、
薄毛の発生予防・進行防止につながっているということが、
この観察結果で分かった、というわけなのです。

 

ちなみに、なぜこんな観察ができたかというと、当時は、
「施設に入れられた知的障害者の中で、攻撃性が強く懸念される人は去勢される」
ということが、当たり前のようにおこなわれていました。

 

そんな中、ハミルトン医師は、
「弟が収容されて去勢され、兄はその弟に会いに来るだけなので去勢されていない」
という状態の一卵双生児のうち、兄だけが薄毛で、去勢された弟は薄毛ではない、
という違いが出ていることに着目したのです。

 

そしてさらに、薄毛でなかった弟にテストステロンの投与を続けたところ、弟も薄毛となりました。

 

その後も施設で、去勢されている人たちとそうでない人たちの比較を続け、
男性ホルモンと薄毛リスクに大きな関係があると結論づけたのです。

 

このハミルトンの観察があってこそ、今の薄毛対策は大きく進歩しつつあると言えますが、
その報告はこうした「人体実験のようなことを続けた過去」によってできた、というわけです。

 

大昔にも男性ホルモンと薄毛リスクの関係に触れる報告が!

というわけで、男性ホルモンと薄毛リスクの関係を本格的に証明するものとして、
ハミルトンの観察の功績はとても大きいと言えますが、
実は、もっと大昔の段階で、そうした趣旨の報告は存在しています。

 

それはなんと、紀元前のギリシャの有名人・ヒポクラテスとアリストテレスです。

 

紀元前400年代〜300年代を生きた人たちですが、
両人とも「宦官(去勢された、宮廷に仕える役人)には、はげている人がいない」
という趣旨の指摘をしていますよ。

 

ただ、ここで「諸悪の根源はテストステロン=じゃあ、テストステロンの分泌を抑制すればいい」
と結論づけるのは早計というものです。

 

「ハミルトンの観察」は、
一昔前のいわば非人道的と言えるほどの荒っぽい治療の副産物として生まれたもので、
薄毛のメカニズムの真相に迫るものではありません。

 

現在では、AGAを引き起こすのは、テストステロンと結びつく5αリダクターゼの量の多寡と、
それによって生成されるジヒドロテストステロンを受け入れるレセプターの感応性だということが解明されているからです。

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